万が一に備えて、整体師・経営者を守る制度、賠償責任保険ご存じですか？

万が一に備えて、整体師・経営者を守る制度、賠償責任保険ご存じですか？

整体師として独立開業するためには、特別な国家資格などを必要としません。しかし、主に徒手で施術をおこなう整体師である以上、賠償責任を問われるトラブルの可能性があることを知ってかなければなりません。

整体師賠償責任保険に加入している場合、不当なトラブルに巻き込まれた場合であっても、慰謝料などを補償してもらえる可能性があります。本気では賠償責任保険に加入する必要の有無、および加入方法などについて詳しく解説します。

整体院を経営するのに賠償責任保険は必要ですか？

整体院を経営するにあたり、賠償責任保険への加入は必須の要件ではありません。しかし、整体師賠償責任保険に加入しておくと、いざというときのトラブルに対して保証が下りる点がメリットです。

一生懸命施術したにも関わらず、痛みが増したと損害賠償金を請求してくるようなお客さんに当たった場合、本人に代わって組合や協会などが対応してくれます。

整体師賠償責任保険は安心を得るもの

整体師賠償責任保険は、施術師として活動していく上で不可欠ではありませんが、できれば加入しておきたい制度と言えるでしょう。

その理由として、施術活動を行う上での安心を得られることがあげられます。整体師賠償責任保険では、主に以下の3点に関する補償がおこなわれます。

l 損害賠償金

l 応急・緊急費用

l 訴訟に要する費用

3つの補償について詳しく見ていきましょう。

損害賠償金

整体師賠償責任保険に加入した場合、要件を満たすことで損害賠償金が下ります。損害賠償金に関するよくある事例として、施術にともなうトラブルがあげられます。

例えば腰痛を訴えてきたお客さんに施術をしたところ、ベッドから起き上がることができなくなったなどの事例は珍しくありません。

また、直接的にケガを負わせた場合ではなくても、施術によりお客さんが身につけていたアクセサリー（ネックレスや腕時計など）を損壊したケースでも、補償を受けられる可能性があります。

ただし、特定の手技によっては損害賠償金が下りない可能性もあるため注意が必要です。例えば、旧厚生省時代に以下のような通知がくだされています（平成3年6月28日）。

『カイロプラクティック療法の手技には様々なものがあり（中略）とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること』

引用：医療類似行為に対する取扱いについて

簡単に説明すると、患者をあおむけにした状態で頭部を把持し、頚椎(けいつい・首の骨）を急激にひねるような施術にともない障害が起こった場合、整体師賠償責任保険の補償対象とはならないため注意が必要です。

応急・緊急費用

整体師賠償責任保険の補償対象としては、応急・緊急措置をとるために要した費用もあげられます。例えば施術により痛みが強くなった場合に、応急処置をおこなうために要した費用などが対象です。

訴訟に要する費用

整体の施術にともなう何らかのトラブルが訴訟にまで発展した場合、限度額の範囲内で整体師賠償責任保険の補償が下ります。

…このように、整体師賠償責任保険は施術活動を続けるにあたり、安心を得るための制度と言えます。ただし、以下のようなトラブルは補償対象とならないため注意が必要です。

整体師自賠責保険の加入方法

整体師賠償責任保険への加入を検討する場合、まずは該当する組合や協会のホームページから資料を請求することが一般的です。

補償内容や限度額は各保険により異なるため、事前に確認しておくことがおすすめです。整体師やカイロプラクター、エステティシャン、リフレクソロジストなどの民間資格者の場合、柔道整復師などの国家資格者に比べると会費がやや高額になる傾向があります。

ただ、年間15,000円～30,000円程度で加入できるため（補償内容により費用は異なります）、万が一のために検討することがおすすめです。

まとめ

チェーン展開している整骨院などと異なり、独立開業して整体院を開業した場合、何らかのトラブルが生じても全て自分で対応しなければなりません。

そんなときに強い味方となってくれるのが整体師賠償責任保険です。年会費15,000円程度から加入できて、最大で1億円ほどの補償が受けられることもあります。

自分の技術は絶対だと思っていても、どのようなお客さんに当たるかは分かりません。万が一の場合に備えて、整体師賠償責任保険への加入を検討することがおすすめです。