整体院の開業を成功させるポイント・必要な資格や費用は？

街中を歩いていると、たくさんの整体院や整骨院を見かけます。そのため、整体院を独立開業して成功しようと考えた場合、他の施術所に負けないような院作りが重要となります。

では、整体院の開業を成功させるためには、どのような準備を行えばよいのでしょうか。また、どのような原因によって、整体院の経営に失敗してしまうのでしょうか。

整体院と整骨院の違いは？

整体院の開業を成功させるためのポイントについてご紹介する前に、まず、整体院と整骨院の違いについてご紹介します。患者さんによく聞かれることでもありますので、しっかり説明できるようにしておきましょう。

・国家資格の有無

整骨院（接骨院）で施術を行うためには、国家資格である柔道整復師の免許を取得する必要があります。柔道整復師の免許を取得するためには、3年間におよぶ専門教育を受けたうえで、柔道整復師国家試験に合格しなければなりません。

一方、整体師として施術を行う場合、特に資格は必要ありません。ただ、最近は国家資格を持つ柔道整復師や鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師などが整体院を開業するケースも増えてきています。

・保険適用の可否

整骨院では、健康保険などを利用して施術を受けることができます。そのため、患者さんの自己負担額は1割から3割で済むというメリットがあります。整体院の施術には健康保険が適用されないため、費用は全額自己負担となります。

・施術範囲の違い

整骨院では健康保険を利用して施術を受けられますが、法律によって定められた範囲の施術師か受けることができません（電気治療や温熱療法など）。

一方、整体の施術にはそのような制限がありません。そのため、患者さんのニーズに合わせた施術（マッサージやストレッチ、骨盤矯正など）を提供できるというメリットがあります。

・開業費用の違い

整骨院の開業に必要な費用は、一般的に600万円～1,000万円とされています。テナントを借りて整体院を開業する場合、家賃や敷金・礼金などが必要となるため、100万円から400万円程度必要となります。

ただ、整体師は自宅で開業することも可能であるため、開業費用を数万円から10数万円程度に抑えることも可能です。

整体院が開業に失敗してしまう主な原因？

整体院の開業を成功させ、経営を軌道に乗せるためには、なぜ整体院の経営に失敗してしまうのか、その原因について知っておくことが重要です。整体院の経営に失敗する原因としては、次のようなことが挙げられます。

・技術不足

整体師には国家資格が必要ではないため、その気になればすぐに開業することが可能です。ただ、患者さんの症状を改善できる技術がないと、整体院を成功させることは難しいでしょう。

例えば腰痛を訴えて来られた患者さんがいたとします。そして、施術を受けた後に何も変化が実感できなかったとしましょう。では、その患者さんはまた来てくれるでしょうか。おそらく違う整体院を探すことでしょう。

整体院に来られる患者さんの多くは、「自分に合った整体院はないか」探しているものです。そこで最高の技術を提供できなければ、「もっといい整体院はないかな」と患者さんを手放す結果になってしまうのです。

・方向性が曖昧

整体院を開業する場合、院としての方向性を明確にしておく必要があります。例えば、近所に「〇〇市で唯一の腰痛専門整体院」と「肩こり・頭痛・腰痛・ダイエット・小顔・足つぼマッサージ」を売りにしている整体院があったとします。

仮に腰痛を何改善したいと考えている患者さんがいた場合、どちらの整体院を選ぶでしょうか。おそらく前者を選ぶのではないでしょうか。このように、整体院を開業する場合、まずは院としての方向性を打ち出すことが求められます。

・適正価格を設定できていない

整体院の施術は自費であるため、整体師の方で好きなように価格を設定することが可能です。ですが、適正価格が設定できていないと、経営を安定化させることは難しいでしょう。

例えば、単価を20,000円に設定したとします。ものすごく技術力があり、ネームバリューも兼ね備えていれば、20,000円の施術代でも患者さんを集められるかもしれません。ただ、患者さんにとって敷居が高くなることは否定できません。

逆に、単価を2,980円と低く設定したとします。その場合、単価が低いことを補うため、たくさんの患者さんを集める必要があります。

原則として整体院の売り上げは、「単価×患者さんの数×リピート率」となります。単価は一度設定してしまうとなかなか値上げしづらいので、最初にじっくり考えておくことが重要です一般的には「分単価100~200円」が目安となりますので、参考にしてみてください。

・PDCAを行っていない

PDCAは経営における、「Plan（計画）」「Do（実行）」「Check（評価）」「Action（改善）」を意味します。

目標を設定し、計画を立てて実行。その結果をチェックして改善につなげることを、「PDCAサイクルを回す」などと言います。

整体院の場合であれば、「技術力を高める」「新規の患者さんを増やす」「リピート回数を増やす」などと言ったことが計画（Plan）にあたります。

その計画を実現するために、「セミナーを受講する」「インターネットに広告を出す」「DMやニュースレターを送る」「バースデー優待券をプレゼントする」などと言った施策（Do）を行います。次に、その結果どうなったのかをチェックすることが重要です。

患者さんの満足度は上がったのか、広告やDM、優待券によってどれくらいの新規患者さんが増えたのか、リピート回数が増えたのかなどを評価（Check)しなければ、その計画が成功したのかどうか判断できません。

チェックをした結果、不十分な点が見つかったのであれば、改善（Action)する必要があります。開業に失敗する整体院の多くが、このようなPDCAサイクルを回せていない傾向にあります。

整体院の独立開業に宣伝広告は重要～でもそれだけでは…

整体院を独立開業し、経営を軌道に乗せるためには宣伝広告が必須です。今時ホームページもない整体院が繁盛することは考えにくいでしょう。

ただ、整体院を成功させる大前提として技術力が求められます。整体院に来られる患者さんの多くは、病院や整形外科での治療に満足できず、何とかして症状を改善したいと思っています。

そんな時に、長年の悩みを改善してくれる整体師と出会えた場合、きっとその整体師のファンンになり、何度も足を運んでくれることでしょう。

逆に、マーケティングなどの知識が豊富で、店舗への集客はうまくできたとしても、技術が伴っていなければ、悪い評判が広がるだけの結果となりかねません。

まとめ～整体院開業成功への王道はたゆまぬ技術向上！

整体院の開業を成功させるためには、さまざまな要素が必要となります。ただ、やはり王道はたゆまぬ技術向上にあるといえます。

患者さんの多くは病院や整形外科、その他の治療院での施術に不満を抱えています。あなたの技術でその不満を取り除くことができれば、あなたのファンはどんどん増えていくことでしょう。

整体の技術は日々進化しています。10年前に習った技術が今も通用するとは限りませんし、同じ施術ばかりしていると、患者さんが飽きてしまう恐れもあります。

やはり、整体院の開業を成功させ、さらに繁盛させるためには、常に新たな技術を習得することが重要といえます。