鍼灸師として独立開業するために必要なこと｜準備・費用・手続きは？

鍼灸師として独立開業するために必要なこと｜準備・費用・手続きは？

鍼灸師のお仕事は、患者さんの不調や悩みを解消して施術代を頂けるだけでなく、「ありがとう」の言葉も頂けるやりがいがある仕事です。

学生のうちから鍼灸師を目指す方もいれば、社会人としての仕事をしながら学校に通い、鍼灸師を目指すケースもあります。そこで、鍼灸師として独立開業するために必要なことをご紹介します。

鍼灸院を開業する前に知っておきたいこと

鍼灸院を開業する前に知っておきたいことが2つあります。それは、競合が多いことと、平均年収が必ずしも高くないことです。

競合が多い

鍼灸師は「はり師」と「きゅう師」の両国家資格を取得した国家資格者であり、鍼やお灸を用いて腰痛や肩こりといった不調の改善や、小顔や美肌など美容鍼灸の施術を行っています。

鍼や灸の歴史は古く、日本には奈良時代ごろに伝わり、江戸時代には日本の医療の中心的存在となりました。

現在では鍼灸師は医師ではありませんが、病院では改善できない不調が、鍼灸の施術で解消したというケースも少なくありません。

そのような鍼灸師の仕事ですが、整骨院や接骨院、整体院、カイロプラクティック院など競合が多いことを知っておきましょう。

2018年の段階で、柔道整復師の施術所が全国に５万ヶ所あったのに対し、鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師の施術所は、９万ヶ所を超えていたというデータがあります。

整骨院や接骨院では健康保険が利用できるため、患者さんが気軽に足を運びやすいメリットがあります。一方、鍼灸院の多くは自費で施術をおこなっているため、整骨院ほどの来院患者が見込めません。

そのような状況に加え、同じく自費施術である整体院やカイロプラクティック院、マッサージ院、クイックマッサージなどが競合として存在しています。そのため、開業さえすれば儲かるという時代ではなくなっているのです。

平均年収が必ずしも高くない

江戸時代には日本の医療を支える存在であった鍼灸ですが、現在では代替医療に位置付けられており、病院の治療で改善が見られなかった方が、多く利用する傾向にあります。

鍼灸師の平均年収はおよそ380万円とされており、日本人の平均年収（およそ430万円）と比べた場合、やや低いのが実情です。

もちろん、人気の鍼灸師の中には、年収1,000万円を超える方もいらっしゃいますが、開業すれば儲かる訳ではないことを知っておきましょう。

鍼灸院の開業に必要な費用、資格、届出など

鍼灸院を開業するにあたっては、開業資金や資格、届け出などが必要となります。それぞれについて簡単に見ていきましょう。

費用

鍼灸院の開業にかかる費用は店舗の大きさや立地によって変わりますが、10坪の店舗を借りる場合を想定すると、初期費用がおよそ300万円～400万円かかるとされています。

資格

鍼灸院を開業し、鍼灸師として仕事をするためには、3年間の専門課程を経た上で、鍼灸師の国家資格を取得する必要があります。それ以外にとくに必要な資格はありません。

届出

鍼灸院を開業した場合、開業から10日以内に所轄の保健所まで開業届を提出する必要があります。その後、保健所の立ち入り検査があり、構造設備基準を見てしているかチェックがおこなわれます。

鍼灸院開業を成功させるポイント

鍼灸師の国家資格を取得すれば、鍼灸院を開業すること自体は、それほど難しいことではありません。ですが、鍼灸院を成功に導くためには、次のような点に気を付ける必要があります。

鍼灸院の場所選び

鍼灸院開業を成功させる大きなポイントの1つが、施術所を開く場所選びです。駅前であれば集客の可能性は高くなりますが、ライバルが多くなることを覚悟しなければなりません。

商店街のテナントを借りた場合も集客しやすいのですが、敷金や礼金、家賃が割高な傾向にあります。路面店舗であれば、歩行者や車を運転する方にアピールできますが、2階以上の場合、院の存在に気が付かれない可能性もあります。

コンセプトの明確化

実は、鍼灸院を開業する場所に正解はありません。駅近くでもなかなか集客できないケースもあれば、駅から離れていても繁盛する鍼灸院もあります。

鍼灸院開業を成功させるためには、自分がどのような施術を得意としているのかコンセプトを明確にし、ターゲット層が多く住んでいる場所を選ぶのがベターと言えそうです。

例えば、高齢者に対する施術を得意としているのであれば、集合住宅に近い場所を選ぶという手があります。若い層をターゲットにしたいのであれば、通学路沿いに鍼灸院を開業させる方法もあるでしょう。

宣伝

鍼灸院を開業したとしても、宣伝をしなければ向こうから勝手に患者さんがやってくることはありません。できれば開業前にホームページを作成しておき、自院のアピールをすることが重要です。

院の周辺住民に向けて、プレオープン記念として、施術体験をおこなうのもよいでしょう。また、一度来院してくれた方には、DMの送付など患者フォローも欠かさないようにしましょう。

まとめ

鍼灸院の仕事は、報酬とともに患者さんから感謝の言葉を頂ける、とてもやりがいのあるお仕事です。独立開業すれば自分の時間も作れるだけでなく、やり方によってはサラリーマンよりも高い年収を得ることも可能です。

鍼灸院の開業を成功させるためには、立地を念入りにリサーチし、開業前にホームページなどで自院のアピールをおこなうことが欠かせません。開業手続き自体はそれほど難しくないので、経営について勉強することも重要です。